思い出の一冊

こんにちは。山本校です。

 先日一人の生徒から、英語の本を読みたいのだけれどどんな本がいいですかという質問がありました。Sam先生からはとにかく自分の好きな本、自分が面白いと思う本がベストだよというアドバイスでした。Eric先生からのアドバイスは1ページの中に知らない単語が5つ以下の本を選びましょう、でした。アメリカでは1ページに知らない単語が5つ以上あると読むのが難しいと言われているそうです。 

これを聞いて、私が中学生の時の無謀すぎる夏休みの自由課題のことを思い出しました。 

今から 数十年も前の話になりますが、近所の本屋さんでトーベ・ヤンソンさんのムーミン谷の冬の英語版ペーパーバックを見つけました。テレビアニメのムーミンとは全く違うムーミンたちの挿絵に強烈に惹かれ、なけなしのお小遣いをはたいてこの本を買って帰ったのです。そして、この本を訳すのを夏休みの自由課題にしようなどと、とんでもないことを思いついてしまったのでした。 

普通に学校でしか英語を習っていなかった私にとっては、1ページに5つどころかほとんど知らない単語ばかりで1語1語辞書で調べてみたものの、調べても良くわからないことも多くて数ページでギブアップしてしまったのは言うまでもありません。それでも、日本とは全く違う氷と雪に閉ざされたフィンランドの冬の雰囲気に胸が高鳴り、強い憧れを抱いたのをよく覚えています。 私の長年の夢のであるオーロラを見るというのはこの本の影響なのだと思います。 

鉛筆の書き込みで数ページが真っ黒になったこの本は、家のどこかにまだあるはずですが、インターネットで探してみると今でも買えることがわかり懐かしくなって、思わずまた買ってしまいました。当時は辞書で調べて日本語訳がわかっても、実際どんなものかよく理解できなかったものも今では画像検索で調べれば写真で簡単に見られ、昔とはまた違う楽しみ方ができました。 

 ‘Turen/チュリン’  

 ‘Meerschaum/海泡石’ 

質問をしてくれた生徒が何十年経ってもまた読みたいと思えるような素敵な本にたくさん出合えますように。